2007年11月13日
幼少期→かぜ←青年期。
厚い毛布に抱かれた一人の青年は、
咽返すような吐き気と、
2分おきに繰り返す腹痛に、
絶えながら、
汗まみれで天井を見つめていた。
寝ている位置から、
天井までの距離が、
いつもよりやけに遠く感じる。
今にもふっとんでしまいそうな意識の中、
青年はあることを考えていた。
「風邪で寝込んでいる、
独身男性はとてつもなくさびしいだろうな…。」
うす汚いカーテンの隙間から、
明るい平日の午後の光が差し込んでくる。
風邪で休んでいるのに、
なぜか罪悪感じみたものを感じる。
ふと、
青年の脳裏に、
幼少期の頃の記憶が蘇ってきた。
アタタカイ、
なにもかも包み込んでくれそうな、
優しい母親の声が聞こえてくる。
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母:「ん…、まだ熱っぽいね」。
子供:「お母さん、なにか食べたい」。
母:「そっか、そっか」。
子供:「うん…」。
母:「食べたいのなんでも言ってごらん♪」。
子供:「…松坂牛」。
母:「…ん?」。
子供:「松坂牛」。
母:「…………………………」。
母:「そんな子に育てた、覚えはぬぁーーーい!!」。
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青年は、
あの日、
生涯ではじめて、
大人は嘘つきだということを知ったのだった…。
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