2008年04月14日
家出少年記⑤
彼女との話に夢中になっているうちに、
気がつくと空は大分白みがかっていた。
一人のホラ吹き家出少年と、
一人の熊本ホステスは夜通し話し続けていたらしい。
お互い名前も知らぬまま。
どこか遠くの方で、
新聞配達のカブが激しくギアチェンする音が聞こえたのと同時に、
「そろそろ帰ろうかな」と、彼女は言った。
ありもしない作り話をでっちあげすぎたせいか、
ノンストップでママチャリを漕ぎすぎたせいか、
僕もかなり疲労困憊だったが、
ふいに彼女にお礼がしたいと思った。
2008年04月10日
家出少年記④
深夜に道路のど真ん中で、
大の字に寝そべっている一人の少年。
それを覗き込む一人の女性。
今考えるとあんなヘンテコな光景は、
あの時あの場所で世界中を探しても僕等だけだったに違いない。
「何やってんの」と、突然彼女は僕の顔をみて言った。
その問いに少し戸惑いながら、「何やってんすかね」と答える僕。
その答えが可笑しかったのかなぜか彼女は僕の顔を見てちょっとだけ笑った。
彼女は熊本市内で働くホステス。
仕事がひと段落し、家に帰る途中で道路の上の少年を見つけたのだそうだ。
あんな真夜中普通の女性なら男に遭遇するのさえ避けたいはずだが、
なぜか彼女は道路の上の少年に興味を持ったらしい。